はっか (薄荷)

学名  Mentha canadensis (M.arvensis var.piperascens,
M.arvensis subsp.haplocalyx, M.arvensis var.formosana,
M.arvensis subsp.canadensis, M.sachalinensis,
M.haplocalyx var.nipponensis, M.haplocalyx var.piperascens, M.haplocalyx)
日本名  ハッカ
科名(日本名)  シソ科
  日本語別名  ニホンハッカ、メグサ(目草)、メハリグサ、メザメグサ、オオアラキ、ミズタバコ、
漢名  薄荷(ハクカ,bòhé)
科名(漢名)  脣形(シンケイ,chúnxíng)科
  漢語別名  家薄荷(カハクカ,jiābòhé)
英名  Japanese mint

2007/06/20 薬用植物園
2007/10/08 同上

2023/10/06 野川公園自然観察園 

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 ハッカ属 Mentha(薄荷 bòhé 屬)には、おもに北半球に約20種がある。

  ヌマハッカ
(ミズハッカ) M. aquatica(E.Watermint)
  ヨウシュハッカ M. arvensis(田野薄荷;E.Fieldmint)
    バナナミント 'Banana' (香蕉薄荷;E.Banana mint)
  ハッカ M. canadensis(M.arvensis var.haplocalyx, M.haplocalyx; 薄荷・野薄荷・
        土薄荷・水薄荷・魚香草)
 中国では全国の水辺湿地に自生。
        『中国本草図録』Ⅰ/0298・『中国雑草原色図鑑』187
    ハッカ
(狭義) var. piperascensis;家薄荷・田薄荷・東北薄荷) 日中で栽培
    var. haplocalyxoides(平葉留蘭香)
  M. cordifolia(心葉留蘭香)
  ダフリアハッカ M.dahurica(M.sachalinensis;興安薄荷・野薄荷)
         
黒龍江・吉林・内蒙古・極東ロシア・東シベリア産 『中国本草図録』Ⅸ/4322
  アメリカハッカ M.× gentilis(M.×gracilis, M.×cardiaca;光葉薄荷)
        
ユーラシア・北アメリカ産、中国では栽培
  ヒメハッカ M. japonica(Satureia japonica;日本薄荷)
  ナガバハッカ M. longifolia(M.sylvestris;歐薄荷;E.Horsemint)
歐洲原産
  コショウハッカ(セイヨウハッカ・ペパーミント) M.× piperita (辣薄荷; E.Peppermint)
    ベルガモットモント var. citrata(var.citriodora;檸檬辣薄荷・檸檬留蘭香)
  メグサハッカ M. pulegium (唇萼薄荷;E.Pennyroyal mint)
  ミドリハッカ(スペアミント) M. spicata(M.viridis, M.crispata;
         留蘭香・綠薄荷・南薄荷;E.Spearmint)
    オランダハッカ(チリメンハッカ・カーリーミント) 'Crispa' (M.spicata var. crispa,
         M.crispata;皺葉留蘭香;E.Curlymint)
    var. spadana(小葉留蘭香)
  マルバハッカ(アップルミント) M. suaveolens (蘋果薄荷・圓葉留蘭香;E.Applemint) 
   

 シソ科 Lamiaceae(脣形 chúnxíng 科)については、シソ科を見よ。

 漢名の薄荷(ハクカ,bòhe)は、古くは 茇●{草冠に括}(ハツカツ,bákuò)・茇▼{草冠に舌}(ハツカツ,báguā)・菝■{蘭の柬に可を代入}(ハツカ,báhè)・茇■(ハツカ,báhè)・勃荷(ボツカ,bóhè)・薄◆{草冠に訶}(ハクカ,bòhè)・波可(ハカ,bōkĕ)・蕃荷(ハカ,bōhè)などとも書いた。 

 和名ハッカは、漢名の音の転訛。
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)薄◆に「和名波加」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』10に、「薄荷 ハカ和名鈔 オホアラキ古名 メハリグサ西国 ミヅタバコ佐州 メザメグサ尾州」と。

 属名 Mentha はラテン語のハッカ。ギリシア神話において、冥界の女王ペルセポネー Persephone によってハッカに変えられた妖精 Menthe(Minthe)の名から来たもの。英名の Mint も同。
 種小名 arvense は「原野の」。変種名 piperascens は「コショウのような」。

 種としては、北海道・本州・四国・九州・朝鮮・漢土(全域)・モンゴリア・東シベリア・アラスカ・カナダ・USAに分布。

 日本のハッカ var. piperascens は、日本・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古・シベリア東部に分布。
 中国では、家薄荷(カハクカ,jiābòhé;「栽培する薄荷」の意)と呼び、全国各地で栽培。
 日本では、文化14年
(1817)ころ メントールを採るために岡山で栽培されはじめ、そののち各地で栽培された。戦前は世界の8割を生産したが、今日では化学製品に押されて栽培は減り、当時の1割が薬用として生産されている。 

 中国では、地上部・全草を薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.243-245 『(修訂) 中葯志』IV/760-765 『全国中草葯匯編』上/923-925

 日本では、生薬ハッカは ハッカの地上部である(第十八改正日本薬局方)。 

 
  かはかみの小畑
(をばたけ)にまで薄荷(はくか)うゑてかすかに人は住みつきにけり
  日は入りて薄荷畑に石灰
(いしばひ)をまきつつをりし人もかへりぬ
     
(1932志文内,斎藤茂吉『石泉』)
  

  ヨーロッパで古くから薬用にされているミント mint は、代表的なものは
   ペパーミント (コショウハッカ M. piperita)
   スペアミント (ミドリハッカ
(オランダハッカ) M. spicata) 


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